隙間

先週のこと。近くに用があったので、丸善に立ち寄った。

特に目当てがあるでもなし、背表紙を眺めてもタイトルが頭に入らなかった。
というのも最近は、書店を訪れると自室に積まれた大量の未読本が頭をよぎる。

それに、今は文学よりも論文を読むべきという思いがあるのだろう。
ああ、なんということだろうか。いつだって意気込みだけは一流なのだ。
そんなこんなで、書店を楽しめる状態にないことは行く前からわかっていた。

まあ、来てしまったものは仕方がない。
申し訳程度に自分の専門領域の棚を通りすぎようとしていた。
特に研究テーマとしているあたりで一応立ち止まる。
すると、その中の五、六冊がごっそりと消えていることに気が付いた。

なんだか急にがっくりときてしまった。
背もたれのない椅子に座り込み、気を失うように十分程眠った。